リスティング広告で成果を上げていくには、さまざまな要素を考慮して、入れていかなければなりません。
色々と試して、徐々に成果を上げていくのも1つの方法ですが、あらかじめシミュレーションをしてから施策を講じていくという方法もあります。
とはいえ、「シミュレーションって難しそう…」「シミュレーションって言われても何をすればいいのか分からない…」という方も多いのではないでしょうか?
ですので今回この記事では、リスティング広告でのシミュレーションについて、その中でも特に考え方やフローといったものについてをご紹介していきます。
リスティング広告シミュレーションとは?

リスティング広告シミュレーションとは、広告出稿前に予算やクリック単価、CVR(コンバージョン率)などの数値をもとに、見込まれる成果(CV数・CPA)を事前に予測する試算です。
これにより、配信戦略の妥当性を確認し、最適な予算配分や改善ポイントの仮説立てが可能になります。
広告成果を事前に数値で予測するための設計図
リスティング広告におけるシミュレーションは、出稿前に「どの程度の広告予算で、どのくらいの成果が見込めるか」を数値で可視化するための設計図です。
これは単なる予算計画ではなく、広告運用を成功に導くための戦略的な試算であり、精度の高い広告配信を実現するための重要なステップです。
シミュレーションでは、まず商材やサービスの特性をふまえたうえで、対象キーワードの検索ボリュームや想定クリック率(CTR)、平均クリック単価(CPC)、想定コンバージョン率(CVR)といった要素を組み合わせて、成果指標を導き出します。
たとえば、CTRが3%、CVRが2%、CPCが100円の場合、1,000回のインプレッションから30クリック、0.6件のコンバージョンが見込めるといった計算が可能になります。
これらの数値は、過去の実績データや業界平均値、媒体が提供するキーワードプランナーなどのツールから取得できます。
複数のパターンでシミュレーションを組むことで、最低限の成果を狙う「保守的シナリオ」と、拡張を見据えた「積極シナリオ」を比較することも可能です。
このように、リスティング広告のシミュレーションは、計画段階での期待成果を定量的に整理し、無理や無駄のない予算設計・戦略立案を行うための設計図と言えます。
広告主や社内関係者に対して説得力のある根拠として提示できるのも、シミュレーションの大きなメリットです。
施策実行の「仮説づくり」と「改善基準」を明確にする役割
リスティング広告シミュレーションのもう一つの重要な役割は、「仮説の構築」と「検証の基準設定」にあります。
シミュレーションは、広告施策を実施する前に「こうすればこうなるはず」という仮のストーリーを作り上げる作業です。
この仮説があることで、施策実行後の振り返りや改善がスムーズに行えるようになり、たとえば、「CVRを1.5%と仮定すればCPAは3,000円で収まる」というシミュレーション結果があったとします。
実際の運用でCVRが1.0%にとどまった場合、仮説との差がどこにあるのかを検証し、ランディングページの改善や広告文の訴求変更といった具体的なアクションにつなげることができます。
このように、シミュレーションによって施策の評価軸が定まるため、運用中の「なんとなくの判断」ではなく、数値に基づいたロジカルな意思決定が可能になります。
また、仮説を複数用意することで、運用上のリスクマネジメントも可能になります。
たとえば、「CVRが想定を下回る場合は〇〇を優先して改善する」「CPCが高騰したら△△のキーワードを停止する」といった対応方針を事前に決めておくことで、突発的な状況にも冷静に対応できます。
さらに、改善基準が明確であることは、社内チームやクライアントとの認識共有にも役立ちます。
どの数値を成功とみなすか、どこからが改善領域なのかをあらかじめ設定しておくことで、関係者間でブレのない判断基準を持つことができます。
このように、リスティング広告のシミュレーションは、広告戦略の出発点としてだけでなく、実行フェーズを支える指標や判断基準を提供する「仮説と検証のフレームワーク」としても非常に重要な役割を担っています。
リスティング広告でシミュレーションを作るときのポイント!

シミュレーションを作っていくのに、まず必要な要素は以下の2つです。
- ペルソナの設計
- 自社、競合他社それぞれの長所・短所
この要素は、マーケティングでは欠かせない3C分析という考え方から来ています。
3C分析とは?
3C分析とは、マーケティング環境分析のフレームワークのことで、「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つの頭文字を取ったものです。
3C分析のマーケティングフレームワークとしての特徴は、シンプルでわかりやすいことです。
なので、社内共通言語としても浸透させやすいでしょう。
また、3C分析は、徹底的に「事実」を集め、集めた事実に対する解釈は、もう一つのマーケティングフレームワークSWOT分析で行います。
3C分析の情報収集は、インターネットで調査資料を集めて安心してしまう人が多いようですが、戦略を検討していくと、判断するための情報が足りず自分の足で集めることが必要になります。
特に、顧客情報は、自分の足で動き顧客の生の声に触れることが重要です。
顧客業界の3C分析は、「BtoBマーケティング」で必要な考え方です。
BtoBマーケティングでは、顧客が企業であるため、顧客企業は顧客企業からみた環境分析を行っています。
顧客を理解することはマーケティングの出発点ですので、法人営業・BtoBマーケティングでは、まず顧客業界の3C分析が必要で、顧客業界の3C分析+自社業界の3C分析で、6C分析ともいいます。
ペルソナの設計
ペルソナの設計とは、簡単に言えば、訴求したい顧客のモデルを設定することです。
既存ユーザーへの分析を何度も行うことで作り上げていきます。
自社のサービスや商品を購入するのはこういう人だろうという架空の人物イメージを、取り扱う商材やそれを利用するユーザーやそのマーケットの状況等の分析から、具体的に作っていきます。
また、ターゲットを“層”で絞ったとしても、その“層”に属する人には一人ひとり異なるライフスタイルや性格があります。
なので、万人ウケするプロダクトとして打ち出しても、その“万人すべて”に強い共感を得られるだけのインパクトを与えることは難しいでしょう。
「この商品を求めている人がどんな人なのか」について考えます。
今回のシミュレーションでは、以下のようなペルソナを例として使っていきます。
- 基本情報(年齢、性別、居住地など)
- 職業(大学・学部、業種・役職、最終学歴)
- 生活パターン(起床時間、通勤時間、勤務時間、就寝時間、外食派or自炊派、休日の過ごし方)
- 性格(価値観、物の考え方)、生活での実感(困っていること、興味があること)
- 人間関係(恋人・配偶者・子供の有無、家族構成)
- 収入、貯蓄性向
- 趣味や興味(インドア派orアウトドア派、友人間での流行等)
- インターネット利用状況・利用時間
- 所持しているデバイス
- 流行への感度
これらの項目を設定していくと、架空の人物の基本情報からライフスタイル、価値観や行動パターンが見えてきます。
見えてきたターゲット層の特性の輪郭を掴むことができれば、あとはそれをさらに深堀できるような細かい調査・分析を繰り返します。
そうすることで、より具体的かつ実在しているかのようなペルソナができ上がります。
自社、競合他社それぞれの長所・短所
どの業界にも慣習や暗黙のルールは必ず存在しています。
自社の分析だけではなく、競合他社も併せて長所・短所を分析していくことで、自社の現況をより明確に知ることができ、顧客視点で徹底的に見直し改善することで、競合他社と差別化することが可能です。
業界で当たり前となっていることが必ずしも顧客にとってプラスになるとは限りません。
業界の慣習の見直しや改善に取り組むことは、自社商品を差別化し強みを作る上でおおいに有用だといえます。
競合企業を徹底的にリサーチすることは、業界内の自社のポジションを把握することが出来、競合他社の弱点を見つけて、それを顧客のニーズと結びつけることによってそこに自社の強みを作り出すことができます。
また、顧客は競合同士をよく観察・比較し、それぞれの利点・不利な点を判断しながら利用しているので、自社が強みだと思っていたことを顧客が弱みだとみなしていたり、その逆もあります。
競合他社との棲み分けを求める結果、ターゲットの絞り込みをします。
ターゲットを絞り込めば絞り込むほど、顧客は減ってしまうと考えがちですが、的確な絞り込みが行われれば、的から離れる顧客がある反面、新たな顧客を獲得することになります。
“自社の長所=競合他社の短所”、”自社の短所=競合他社の長所”と捉えることで、その市場の中での自社の長所はどこなのか、競合他社の立場はどうなっているのかをしっかりと把握できるようになります。
予算配分と成果シミュレーションの組み立て方

予算配分と成果シミュレーションを組み立てる際は、まず目標CV数とCPAから必要予算を逆算します。
その上で、検索・ディスプレイ・YouTubeなど各チャネルごとの配信効率をもとに配分を設定し、成果見込みを分解して算出します。
また、週次や月次での見直しを前提とした柔軟な設計にすることで、実際の運用時に調整しやすくなり、安定的な成果管理が可能になり、戦略と運用をつなぐ設計が成功のカギです。
詳しく見ていきましょう。
目標CPA・CV数から逆算した予算設計の考え方
リスティング広告のシミュレーション設計で最も基本となるのが、「目標CPA(1件あたりの獲得単価)」と「目標CV(コンバージョン)数」を基にした逆算方式の予算設計です。
たとえば、月間で50件の問い合わせを獲得したいと考えており、その1件あたりにかけられる費用(目標CPA)が2,000円であれば、単純にCV数×CPAで計算し、必要な広告費は100,000円となります。
このように、目標から逆算することで、感覚や慣習による予算設定ではなく、合理的な広告投資の判断が可能になり、また、CPAの設定には業界平均や自社の過去実績を参考にするのが一般的です。
初めて運用する場合や実績が乏しい場合には、GoogleやYahoo!が公開している業種別の平均CPAや、競合の類似事例を基に仮値を設定することも検討できます。
目標CV数の設定についても、ビジネス上のKPI(売上・問い合わせ数・資料請求数など)をもとに定めることで、広告運用とビジネス成果が直結しやすくなります。
この逆算方式の利点は、経営者やクライアントとの合意形成がしやすい点にあります。
「この成果を出すには、これだけの投資が必要」という説明が明確にできるため、広告戦略全体の信頼性を高めることができます。
チャネル・キャンペーン別の配分と成果見込みの分解
リスティング広告では、Google検索、Yahoo!検索、ディスプレイ広告、YouTube広告、ショッピング広告など、複数のチャネルが存在します。
これらをどのように組み合わせ、配分するかは、シミュレーションの成果に大きく影響します。
それぞれのチャネルには特性があり、検索広告は意図が顕在化しているユーザーへの即効性が高く、ディスプレイ広告やYouTube広告は潜在層へのアプローチや認知拡大に強みがあります。
シミュレーションの際は、チャネルごとに「想定インプレッション数」「CTR(クリック率)」「CVR(コンバージョン率)」「平均CPC(クリック単価)」などをもとに数値を見積もり、配分した予算ごとの成果見込みを分解して設計します。
たとえば、検索広告に60%、ディスプレイ広告に30%、YouTubeに10%と配分した場合、それぞれのCPAやCV数を計算して、どのチャネルが費用対効果に優れているかを可視化できます。
また、同じ検索広告内でも「ブランドキーワード」「一般キーワード」「地域名入り」などでキャンペーンを分け、それぞれに対して成果見込みを出すことで、戦略の具体性が増します。
チャネルごとの見込みを細かく出すことで、クライアントや上司への説得力が増し、運用後の調整もしやすくなります。
週次・月次での予算管理と調整余地の設計
広告運用は一度シミュレーションを組んで終わりではありません。
むしろ運用開始後にどのように予算を管理し、状況に応じて柔軟に調整していくかが成功のカギとなります。
そのため、シミュレーション段階で「どの程度の予算調整余地を持たせるか」「週次・月次でどのように進捗をチェックするか」といった管理設計までを含めておくことが重要です。
たとえば、月間予算30万円のシミュレーションであっても、そのうち20万円をコア施策(検索広告)に、残り10万円をテスト・拡張施策(ディスプレイやYouTube)に割り振るなど、柔軟に運用可能な構成にしておくことで、途中での改善施策を迅速に実施できます。
また、週単位での進捗確認(例:CV数、CPA、クリック数)を運用フローに組み込むことで、予定通りに進んでいるかの確認と軌道修正が可能になり、さらに、月中に「CVRが想定より低い」「CPCが高騰している」といった予想外の事態が起きた際に備え、初めから代替シナリオを用意しておくと安心です。
たとえば「週次でCVRが1.0%を下回ったらLP改善を実施する」といったしきい値を設定しておくと、改善タイミングを見誤ることなく判断できます。
このように、調整可能な構造で予算とシミュレーションを設計しておくことで、運用時の柔軟性が高まり、成果の最大化につながります。
リスティング広告で自社、競合他社を調べる方法

ここでは、自社、競合他社を調べる方法を紹介していきます。
①~⑤まで順を追ってそれぞれ見ていきましょう。
①キーワードの検索ボリュームの調査
キーワードが検索にどのぐらい利用されているか、その想定されるボリュームを調べられます。Yahoo!・Googleのどちらでもできます。
【Yahoo!】キーワードアドバイスツール
キーワードアドバイスツールは、Yahoo!プロモーション広告が提供しているキーワードツールです。
キーワードについての詳細を調べることができるキーワードツールとなっていて、利用するにはビジネスアカウントが必要となります。
ただし、需要を意味する推定表示回数は検索ボリュームではなく、あくまで広告が表示される予測値となっているため、より広告運用に特化したキーワードツールとなっています。
【Google AdWords】キーワードプランナー
Googleキーワードプランナー(旧キーワードツール)は、Google広告を利用するユーザー向けのサービスです。
アカウントの取得(無料)だけで、広告出稿に関係なく利用することができます。
キーワードプランナーでは、関連キーワードはもちろん、キーワードの「月間検索数」や「競合の多さ」「入札単価」等を調べることができ、多くの方が利用しているキーワードツールです。
しかし、2016年の仕様変更によって、広告費をかけて実際に“Google広告”を利用していないアカウントは、表示されるキーワードの検索ボリュームが「1~100、100~1000、1000~1万」といった、あいまいな範囲での表示となってしまいました。
完全に無料で使用するには、あいまいな数値ではありますが、非常に参考になるツールなのでキーワード選定に利用してみても良いかもしれません。
今回の説明では、Google AdWordsのキーワードプランナーを使っていきます。
②配信地域の設定
続いては、配信地域の設定を行います。
Google広告では、地域を設定する方法が2種類あります。
- 地名による設定
- 半径による設定
Google広告では以下のように、地域を判定して広告を配信しています。
- ユーザーのIPアドレスやスマホの位置情報
- ユーザーが関心を示している地域の検索語句や過去の検索履歴
地域指定できる範囲としては、「都道府県」、「一部の市町村郡」があります。
地名による設定
地域による設定は、
- 「地域」をクリックし、設定したいキャンペーンを選択する。
- ターゲットに設定したい地域を入力する。
一括で設定したい場合には、「場所を一括で追加」にチェックをして、複数入力をします。
半径による設定
半径による設定については、
- [地域]をクリックし、設定したいキャンペーンを選択する
- [範囲]にチェックを入れて、ターゲットに設定したい中心地点と半径距離を入力する。
指定する方法としては、以下の4パターンがあり、いづれも「km」か「マイル」で設定することができます。
- 地名から半径指定
- 住所や郵便番号から半径指定
- 施設名から半径指定(有名なもののみ可)
- ピンを立てて半径指定
半径のエリア指定をできるのは、現在Google広告のみ可能です(Yahoo!広告は地名による指定だけ)。
今回は、大都市圏に設定していきます。(ECでの実績が実際にあるため)
“Googleと検索パートナー”では次のような指定もできますが、ここでは検索ボリュームを分かりやすく見るために、設定は行わないことにします。
- 検索された場合には配信しないとする語句を”除外キーワード”として指定する
- Google以外の提携検索サイトも加味するか指定する
③クリック単価を求める
クリック単価とは、広告1クリックあたりにかかる費用の事です。
このクリック単価が上下することで、ユーザーを誘導できる人数や、広告の表示位置に影響が出てきます。
クリック単価の管理は、広告を配信するにあたっては欠かせないものです。
ここで、ランニングウェアを例として解説していきます。
- 月間平均検索ボリューム → 12,100[件]
- 推奨入札単価(クリック単価) → 38[円]
このように、あらためて実際に使用されるキーワードとして考えると、直球的に”ランニングウェア”だけで検索されることは少ないのではないでしょうか。
そこで、例えば前に”動きやすい”、”安い”、”メーカー”、”メンズ”、”レディース”などといったキーワードも含めると、より購入に繋がりやすい検索語句と言えるでしょう。
他にも”おしゃれ”、”かっこいい”、”人気”、”ランキング”などというキーワード等も、ペルソナを考慮すれば、よりリアリティがあると言えます。
同じ業界でもクリック単価は変わり、企業や商品の知名度が広くある場合は、広告に対するクリックは集まりやすくなります。
逆に、知名度が少ない企業はそういった競合のトップの他社を相手にするので、クリック単価は高くなりがちです。
また、季節であったり、取り扱う商品が「成長期」なのか、「成熟期」なのかといったタイミングが関係してきます。
冬場に水着の広告を出しても興味を示す人は少なくなりますし、斬新なタイプの商品もブームを過ぎていくと競合他社との競り合いがより渋くなり、メディアの反応も悪くなってクリック単価にも影響を及ぼします。
④クリック率の設定
クリック率(CTR:Click Through Rate)とは、広告が表示された回数に対して、どのくらいクリックされたかを示す割合のことです。
なので、クリック率を左右するものとして、ユーザーの求める内容に広告文がマッチしているか、という点が挙げられます。
クリック率は、広告のクリック数を表示回数(=インプレッション)で割った式で計算され、リスティング広告の平均クリック率の一覧としては、
- 検索の平均クリック率:5%
- ディスプレイの平均クリック率:0.3%
業種や商材、予算、配信地域、キーワードの種類などさまざまの要素はある前提で、このようになります。
クリック率が高くなることで、品質スコアが改善し、掲載順位が上がることによって表示回数が増え、費用対効果も改善されます。
このことから、クリック率を想定していく上では、サイトとの関連性や最近の流行、対象となる似たようなケース等を分析して、ユーザーの求めるカテゴリの内容となるような広告文を作ることが重要になります。
広告文には正解というものはありませんので、A/Bテスト等を利用して、色々試しながら作成して運用をしていきましょう。
⑤コンバージョン率の設定
リスティング広告を運用していく上で、決して欠かすことの出来ない大切な指標であるのあコンバージョン率(CVR)です。
コンバージョン率とは、「最終的にどれだけの人が、自社の設定したゴール地点(商品購入など)にまで到達してくれたのか」という割合のことを指します。
つまり、広告の最終成果をダイレクトに示す指標となっています。
ユーザーが折角クリックしたとしても、そのリンク先のサイトに魅力がなければ、すぐにそのサイトから離れてしまいます。
例えば、広告文とは異なる内容の画像や文章がメインとなっていたり、そもそもトップページの情報量が更新されていなくて極端に少なかったりといった場合です。
前述のランニングウェアの例で考える場合、”パリコレで評判になったランニングウェアを検索し探しているユーザー”は、前々からコンバージョン率が高い傾向があるというデータがあります。
また、コンバージョン率の平均的な数値は、業種によって大きく変わります。
そもそも、成果地点をどこに置くかは、企業や案件によってケースバイケースなので、一概に「事例では、平均はこれくらい」ということは断言することは出来ません。
しかし、強いて言うとすれば、「コンバーション率1%」というのはよく使われる平均値になります。
長期間リスティングを運用すれば、蓄積される新規の情報は増え、もっと精度の高いデータを集めることができるようになります。
次は、PDCAサイクルを回していきます。
PDCAとは?

PDCAとは、「Plan」「Do」「Check」「Action」の略で、Webマーケティングの中でも頻出のワードといえます。
- P…Plan(計画)
- D…Do(実行)
- C…Check(評価)
- A…Action(改善)
このように、先にプランニングを行い、それを実行し、その評価を行い、更に改善していくというサイクルをあらわすマーケティングの考え方のひとつです。
まず、「Plan」で、目標を設定し、そのために何をするのかある程度の仮説を立て、施策をプランニングしていきます。
そして、「Do」でプランをもとに施策を実行して、「Check」でプランで設定した各指標(KPI)をみながら、その時の計画にそって施策が展開されているか、検証を行います。
最後に「Action」でCheckの中で見えてきた課題から、解決策を考えて算出して、対処を行います。
PDCAという考え方においては「Plan」と「Check」が大変重要な要素となってきます。
パターン別に想定すべきシナリオの違い

リスティング広告では、予算規模や商材特性によってシミュレーションの設計が大きく異なります。
たとえば、低予算の場合はターゲットを絞った効率重視、高予算の場合はチャネルを広げた拡張戦略が有効です。
また、CVRが高い商材と低い商材では、入札戦略やクリエイティブの設計も変わります。
- 低予算で運用する場合のシミュレーション戦略
- 高予算で幅広く配信する場合のシミュレーション戦略
- CVRが高い商材・低い商材でのアプローチの違い
詳しく見ていきましょう。
低予算で運用する場合のシミュレーション戦略
低予算でのリスティング広告運用では、「限られたリソースをいかに成果につなげるか」が最大のテーマとなります。
そのため、シミュレーションではまず無駄な配信を徹底的に排除し、最も成果効率が高いポイントに集中投下する設計が求められます。
キーワード選定では、競合が強くCPCが高いビッグワードを避け、ニッチなロングテールキーワードや地域名を含む指名性の高いワードを中心に構成します。
また、ターゲティングにおいても年齢・性別・デバイス・地域などの条件を絞り込むことで、無駄なインプレッションやクリックを削減し、CPAを最小限に抑えることができます。
配信チャネルは、成果が読める検索広告を中心に構成し、ディスプレイやYouTubeなど認知系の配信は最小限に留めるのが一般的です。
ランディングページ(LP)の最適化も低予算では特に重要で、CVR(コンバージョン率)を高めることで少ないクリックでも成果が出やすくなり、さらに、時間帯や曜日ごとの配信調整や、過去の実績に基づいたスケジュール管理も有効です。
シミュレーション時には、予算に応じた日次・週次のクリック数、CV見込み、CPAを明示し、どのような改善ステップを想定しているかも示すことで、説得力のある戦略提案になります。
高予算で幅広く配信する場合のシミュレーション戦略
高予算で運用する場合、単に配信量を増やすだけでなく、「配信の拡張性」「獲得効率の最適化」「データの蓄積と活用」の3点を意識したシミュレーション設計が重要です。
まず、検索広告に加え、ディスプレイ、YouTube、ファインド広告、ショッピング広告など複数のチャネルを活用し、ユーザーの行動ステージに応じたアプローチを設計します。これにより、見込み客の発掘から顧客化までを包括的にカバーできます。
高予算になると、1チャネルに偏るとCPAの悪化リスクもあるため、チャネルごとに目標CPAを設定し、段階的に予算を配分します。
たとえば、検索広告で獲得効率が頭打ちになった場合、ディスプレイやYouTubeでリマーケティングを強化することで、コンバージョン全体を押し上げる戦略が取れます。
シミュレーションでは、チャネルごとに「インプレッション数」「CTR」「CVR」「見込CV数」「CPA」の分解値を提示し、全体でどの程度の成果が期待できるかを定量的に示すことが重要です。
また、高予算だからこそ可能になるA/BテストやLPの複数パターン運用、動画・静止画クリエイティブの比較検証など、PDCAを回す体制構築もあらかじめシミュレーションに組み込みます。
中長期での改善サイクルを描き、広告投資が事業成長にどう貢献するかまでを可視化することで、信頼性の高い運用提案が可能になります。
CVRが高い商材・低い商材でのアプローチの違い
CVR(コンバージョン率)が高いか低いかによって、リスティング広告の設計とシミュレーション戦略は大きく変わります。
まず、CVRが高い商材、たとえば「無料資料請求」「初回限定キャンペーン」「緊急性の高いサービス(鍵・水道・トラブル系など)」では、クリック単価がやや高くてもCPAが許容範囲内に収まりやすいため、競合性の高いキーワードにも積極的に入札できます。
予算を増やしてもCV効率が大きく崩れにくい傾向にあり、シミュレーションでも拡張性を重視した戦略設計が可能です。
一方、CVRが低い商材(高額商品・比較検討が必要なBtoBサービス・長期的な意思決定が必要な商品など)の場合、クリック数に対して成果が出にくいため、CPCをいかに抑えるかがポイントになります。
この場合は、ディスプレイやYouTubeなどを併用してナーチャリング(教育)を挟みながら、リマーケティングを通じてCVまでつなげる戦略が有効です。
また、LPでの説明設計やホワイトペーパーなどの中間CVポイントを用意し、段階的なCV設計をすることで最終的な成果につなげます。
シミュレーションにおいては、CVRが高い商材は「予算を投下すれば成果が拡大する」前提で設計できる一方、CVRが低い商材では「認知→検討→比較→CV」の導線設計を含めた多段階の施策と、長期スパンでのデータ活用戦略までを織り込んだ設計が求められます。
商材特性に合ったリアルな仮説を立てることが、効果的なシミュレーション構築の鍵となります。
シミュレーションに基づく戦略提案のポイント

シミュレーションに基づく戦略提案では、想定成果から導かれる具体的な施策を提示することが重要です。
複数パターンを用意し、予算に応じたリスクとリターンを比較。
また、実行後の検証指標や改善フローも明示することで、提案に説得力と実現性を持たせることができます。
- 想定成果に基づいた打ち手を明確化する
- 複数シナリオでリスクとリターンを比較提示する
- 実行フェーズでの検証設計と改善プロセスもセットで提示する
詳しく見ていきましょう。
想定成果に基づいた打ち手を明確化する
リスティング広告のシミュレーションは、単なる数字の試算にとどまらず、実際にどのような施策を講じるべきかを明確にするための「戦略設計ツール」として活用することが重要です。
目標CV数や想定CPAが算出できた段階で、次に必要なのは「どの数字をどのように改善して、目標に近づけていくか」という具体的なアクションの提示です。
たとえば、シミュレーションの結果から想定CPAが高くなってしまった場合、その原因が「CPCが高い」のか「CVRが低い」のかを分解して分析します。
もしCVRが低いことが要因であれば、ランディングページの構成を見直し、CTAの強化やフォームの改善を行う必要があります。
一方で、クリック単価が高すぎる場合は、キーワードの選定を見直し、より費用対効果の高いロングテールキーワードや地域名付きのワードに注力するなどの戦術が考えられます。
このように、シミュレーションから得られた数値をベースに、具体的な「改善ポイントと施策」を提示することが、戦略提案における信頼性を高めます。
単に「予算○万円でCVが○件取れそうです」ではなく、「この成果を得るために、こういった広告文をテストし、こういったLP改善を行います」と打ち手を明示することで、提案全体に実行力と具体性が備わります。
複数シナリオでリスクとリターンを比較提示する
シミュレーション提案で欠かせないのが、「複数の予算・戦略パターン」を提示し、リスクとリターンのバランスを可視化することです。
広告主や意思決定者は、1つの案だけを提示されるよりも、「複数の可能性とその想定成果」を見比べることで、納得感のある選択をすることができます。
代表的な構成としては、「ミニマム(最小予算)」「スタンダード(中間)」「マキシマム(拡張)」の3パターンを提示し、それぞれの予算に応じたCV数、CPA、インプレッション、クリック数などを明示します。
たとえば、月額30万円のプランではCV20件・CPA15,000円、50万円ならCV40件・CPA12,500円、100万円ならCV85件・CPA11,800円といった具合に、投資額と成果の伸び方を比較できる形にします。
さらに、各シナリオにリスク要因も併記しておくと親切です。「このシナリオはCPC上昇リスクに弱い」「LP改善が遅れるとCVRが想定を下回る可能性がある」など、予測の精度や前提条件が崩れた場合のシナリオも伝えることで、より現実的な意思決定が可能になります。
意思決定者に「どの選択肢が最も自社の状況にフィットするか」を考えてもらう材料を提供することが、戦略提案としての価値を大きく高めます。
実行フェーズでの検証設計と改善プロセスもセットで提示する
リスティング広告のシミュレーションは、仮説を数値で可視化したものにすぎません。
大切なのは、「実行後にどう検証し、どう改善していくか」というPDCAサイクルの設計までを含めて提示することです。
戦略提案の中で実行フェーズにおける検証・改善の設計までを一体化することで、シミュレーションの現実的な運用可能性がぐっと高まります。
まず、検証の指標(KPI)を明確に設定します。
たとえば、「CV数」「CPA」「CTR」「CVR」「滞在時間」「直帰率」など、各段階で成果を評価するための定量指標を事前に定めておきます。
そして、それらの指標を週次・月次でモニタリングし、基準値を下回った場合の改善アクションをシナリオとして示します。
たとえば、「CVRが1.2%未満の場合は、LPのABテストを実施」「CTRが1.5%未満なら広告文を再作成」など、定量基準に基づく判断ルールを事前に設定しておきます。
また、改善フェーズではどの順序で施策を打つか(優先度)を明確にすることが重要で、初月は広告文のABテスト、2ヶ月目はLP改善、3ヶ月目はオーディエンス再設計など、段階的に改善していくロードマップを設計することで、計画的に成果を最大化できます。
このように、検証と改善のプロセスまでを一緒に示すことで、広告主にとっても「実際に運用したときの姿」がイメージしやすくなり、戦略提案の信頼性と実行力が一段と高まります。
リスティング広告におけるPDCAサイクルの回し方について

ここでは、PDCAサイクルの回し方の紹介として、クリック率を改善したいケースと、コンバージョン率を改善したいケースを見ていきます。
クリック率改善のケース
クリック率改善のケースの場合は、どういった語句からサイトにアクセスしてきたのかは、ユーザーのクエリ(検索語句)から見て取ることができます。
なので、張っているキーワードを変化させて、ユーザーへの訴求を行動などを見てさまざまなアングルから行うように広告を配信していきましょう。
コンバージョン率改善のケース
コンバージョン率改善のケースの場合は、同じような広告文などの素材ばかりというのは、飽きを招きやすく、アクセスを逃しクリック率の低下に繋がってしまいます。
なので、A/Bテストをベースとして改善を何回も行いつつも、必要に応じてさらにサイトの改善や、ランディングページを取り入れることなどをして効率よく活用できるように検討していきましょう。
リスティング広告でのシミュレーションの考え方と作り方!のまとめ

今回は、リスティング広告のシミュレーションについての考え方やフロー等を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
ここまで見てきたように、導入して運用後の施策を考え行っていく上では、シミュレーションはとても有用と言えます。
Yahoo!のキーワードアドバイスツールと、Googleのキーワードプランナーのどちらも、値は想定値で実際に書いてあるものとは異なります。
似たようなケースを元に、この想定値をより実際の値に近づけるための設定をし、そしてその運用を行った結果から再び施策を立てていくということが重要になっていきます。
「PDCAをまわす」と一言に言っても、「Check」に時間を多くとられてしまったりと、効率的な運用にたどりつくまでには試行錯誤をして変更などを繰り返すこともあるかと思います。
ですが、「どうすればこの施策が届けたい相手に届き、響くのか」といった視点をもって、仮説と検証、対策と改善策に取り組んでいきましょう。
マーケティングは「人」に届けるものです。
とはいえ、あくまでシミュレーションですから、得た結果に左右され過ぎないようにしながら、上手くPDCAサイクルを回して、より良いリスティング広告に繋げていきましょう!
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